寅一との最初の出会いは去年の春。家の改造を始めたころだ。
みんなで納屋で昼食を食べていたとき、ひょっこりと表れた。
食べていた弁当のおかずを投げてやったら、近づいて来て、おいしそうに食べる。
「ニャー」といういわゆる猫なで声をあげてまたねだる。
「なんだか人なつっこい野良猫だな」
そして次の日もまたお昼時にやって来て、エサをねだる。
次の日も、次の日も、毎日来るようになった。
「考えてみたら、野良猫がこんなに人に近づいてエサをねだるものかな。もしかして近所の飼い猫か?」
「いや飼い猫ならもっと近寄ってくるはずだよ。一定の距離以上は近づかないから飼い猫じゃないよ」
なんて、みんなで議論沸騰。
そのうちにお昼時じゃなくても顔を出すようになり、みんなが作業している場所の近くにじっと座って眺めて過ごすようになり、すっかり現場のマスコットになってしまった。
家が完成したので、寅一にも家を作ってあげたら、ちゃんとその中で過ごすようになった。
でも夜になるとどこかへ消えてしまう。いったいどこで寝てるんだろう。

かわいそうだったのは暮れに実家へ帰ったときだ。
留守の間はエサをあげることができなくなる。
その間寅一はどうして過ごすのだろう!
しかし、捕まえていっしょに連れて行くわけにもいかず、
心配だったが仕方がなかった。
実家から帰ってきたが、寅一の姿は無い。
待てども待てども、寅一は帰ってこない。
年末は相当な冷え込みだったらしい。
朝晩は-30度近くまで下がったとか。
もしかして死んじゃったのか!
2週間ほど経ったある日、買物から帰ってきたら、
そこに寅一がいた。

エサをあげたらおいしそうに食べてとても元気そう。
また会えてほんとうに良かった。
冬場は使わない植木台の上に分厚いクッションを
おいてあげたら、日中はずっとそこに寝そべって
ひなたぼっこをするのが日課になりました。

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